アルベカ・メディア

EN日本語

めいそうMeisou

居座る伝説がある。あなたは、居座らないほうがいい。

短編映画 | ホラー/ファウンド・フッテージ | 9分 | 2026年

物語

ひとりのハイカーが、東京都の最高峰を目指して歩き出す。だが一歩踏みしめるごとに、ある武将の最後の戦いにまつわる暗い伝説はただの言い伝えとは思えなくなり、下山の道は見えなくなっていく。

あらすじ

雲取山をめざす山行の二日目。Vloggerのハイカーが、歩くルートと御守り、そしてネットで読んだ話をカメラに収める。平将門、石と化した七人の影武者、そして彼らの最後の戦いを可能にした少年。やがて彼は、その石を探しに行く。そこで彼が見るものと、見た気がするだけのもの。カメラには、その区別がつかない。

詳しいあらすじ

奥多摩の山行、二日目の朝。陽気なVloggerが山小屋・三条の湯を出て、東京都の最高峰・雲取山をめざす。これから歩くルートを告げ、小さな木の御守りをカメラに見せると「ちゃんと役目を果たせるように」と胸ポケットにしまい、幽霊の絵が描かれた手描きの注意看板に笑う。やがて天気が崩れる。姿は見えないのに、すぐそばで動物の気配がする気がしてならない。

その夜、山小屋で彼は、ネットで知った話を声をひそめて語る。朝廷に背いた武将、石と化した七人の影武者、そして、彼らの最後の戦いを可能にした、ひとりの少年。翌朝、彼はふたたび歩きだす。地元の村が「将門の迷走ルート」として案内板を立てた、その道を。

ハイカー自身のカメラだけで語られ、音楽も使わないファウンド・フッテージの短編『めいそう』は、能の夢幻能のように展開しながら、やがてその型を破る。

フレームの端に、何かが現れる。あるいは、彼にはそう見えるだけなのか。伝説か、山か、それとも彼自身の心か――カメラは何も答えない。

予告編

場面写真

撮影時のスチルと本編の場面写真です。高解像度版はプレスキットに収録しています。

作品について

題名をひらがなで「めいそう」と書くのは、ひとつの音にいくつもの言葉を重ねるためだ。映画はタイトルカードで、そのうちの三つを順にたどる。冥想、迷想、そして迷走。

最後の「迷走」は、山そのものに書かれている。丹波山村は登山道の一部を「平将門 迷走ルート」と名づけ、将門の敗走の伝説を伝える案内板を立てている。『めいそう』はその道で撮影され、村の案内板もそのまま画面に映る。そのため、日本語が読める観客と英語圏の観客とでは、少しずつ違う映画を観ることになる。

劇伴はない。聞こえる音はすべてハイカー自身のもので、例外はタイトルカードに入る四つの乾いた鼓の音だけだ。人影がつける能面は、井上隆雄が打った「童子」。そして映画は、能の夢幻能のように展開しながら、やがてその型を破る。

監督のことば

『めいそう』は、ひとつの山行から始まった。ジョー・レアードと私は、東京都の最高峰・雲取山のまわりの山道を三日かけて歩く計画を立て、撮影リストと能面、黒いポンチョを荷物に詰めた。脚本もなければスタッフもいない。スタッフは私たち自身だった。

物語は、道がくれた。丹波山村はルートの一部を平将門の「迷走ルート」として案内していて、その「迷走」という言葉がそのまま題名になった。ひらがなで「めいそう」と書けば、それは冥想にも、迷想にもなる。映画はそのひとつひとつを通り抜けていく。

劇中のハイカーは、よそ者だ。ネットで読んだ話を、うろ覚えのまま語る。それも、その物語が語り継がれてきた、まさにその土地で。自分のものではない物語を、よそ者が借りてくる。そういう映画を撮りたかった。

『めいそう』は夢幻能のように展開する。旅人、土地、物語、そして一夜。そこから映画は、その型を破っていく。映画は自らを説明しない。観終えた人たちが、自分の見たものについて語り合いながら帰ってくれたらうれしい。

――ヴィンセント・A・ペース(共同監督)

制作ノート

二人、三日、ひとつの山

『めいそう』は2026年8月、東京の西に広がる奥多摩の山道で、三日間かけて撮影された。温泉のある山小屋・三条の湯から雲取山(2,017m)の山頂へ登り、雲取山荘で一泊。最終日は長い一日になった。ふたたび山頂を越え、七ツ石の石のそばを通って石尾根を下る、約20kmの道のり。駅にたどり着いたのは夜10時過ぎだった。スタッフはそのままキャストでもある。ヴィンセント・A・ペースとジョセフ・P・レアードの二人だ。「何から何まで、ジョーと二人でやっています」

映画の半分は、天気が書いた。朝のまぶしい日差しは霧に変わり、やがて雨になる。タープの下での昼食、そして最終日の嵐。山の側にも事情があった。崩れた登山道。そしてクマの出没で鴨沢側への近道が通行止めになり、予定どおりの長い道を下ることになった。どれひとつ予定にはなかったが、そのすべてが映画に残っている。

上野原警察署への電話

七ツ石の下にある山小屋・七ツ石小屋に一泊する予定だった。ところが私たちはたどり着かず、捜索が始まってしまった。結局ヴィンセントが山梨県警察上野原警察署に電話をかけ、事情を説明することになった。

上野原警察署は、本作のスペシャルサンクスに名を連ねている。

能面

人影がつける面は、京都府福知山市の井上隆雄が打ち、仕上げた能面「童子」。この面を選んだのは、怖くないからだ。穏やかで、感情を見せない若者の顔。井上氏の工房は、撮影の旅に間に合うよう、一週間足らずで注文に応えてくれた。

その場の音と、四つの鼓

『めいそう』に音楽はない。雨と風、そしてハイカーの息づかいがサウンドトラックだ。そこに本物の動物の声がひとつだけ加わる。登山道から外れたどこかで鳴く、子鹿の甲高い声。ポストプロダクションで足した音は、四枚のタイトルカードに入る四つの鼓の音だけで、ソニカ・インストゥルメンツの歌舞伎・能楽囃子音源から作った。カードの文字は青柳衡山の毛筆書体。1950年代の日本映画の簡素なタイトルカードにならい、黒地に生成り色で組んでいる。

編集

編集はまずiMovieで行い、Final Cut Proで仕上げた。題名の言葉が暗さを増すにつれ、色は夏の緑から灰色へと、少しずつ抜けていく。

キャスト・スタッフ

ハイカーヴィンセント・A・ペース
人影ジョセフ・P・レアード
ヴィンセント・A・ペース
監督・製作ヴィンセント・A・ペース
ジョセフ・P・レアード
能面「童子」制作井上隆雄
能楽囃子音源ソニカ・インストゥルメンツ
製作アルベカ・メディア

スペシャルサンクス

  • 橋本恵治・智子
  • ペース真理亜
  • ペース優理亜
  • ペース雅登
  • ペース玲緒凪
  • イザベラ・カスティーヨ
  • アンドリュー・グレイ
  • ダニエル・グレイ
  • ステファニー・ハウエル
  • ペース円蔵
  • 三条の湯
  • 雲取山荘
  • 七ツ石小屋
  • 丹波山村
  • 山梨県警察 上野原警察署
  • 史蹟将門塚保存会
  • 七ツ石神社

An Albeca Media Film© 2026 Albeca Media LLC

映画祭・上映

ワールドプレミアは、決まりしだいお知らせします。

『めいそう』は現在、映画祭への出品を準備中です。オンラインでの公開は行っていません。

作品データ

上映時間
9分22秒
ジャンル
ホラー/ファウンド・フッテージ
製作国
アメリカ
撮影地
東京・奥多摩/雲取山
言語
英語(タイトルカード・看板は日本語)
字幕
英語・日本語
映像
1080p、16:9、カラー
音声
ステレオ
完成
2026年